メジャーリーグとマイナーリーグ


最近のメジャーリーグ(MLB)とマイナーリーグ(MiLB)の両試合を観戦しました。

メジャーリーグはヤンキースタジアムでニューヨーク・ヤンキース対レッドソックスを、

マイナーリーグは、ブルックリンにあるMCUパークでブルックリン・サイクロンズ(ニューヨーク・メッツ傘下)対アバディーン・アイアンバーズ(ボルチモア・オリオールズ傘下)を観戦しました。


まず、アメリカのメジャーリーグとマイナーリーグの基本情報からお伝えいたします。


◆基本情報

①リーグのシステム

メジャーリーグが最上位に、その下にマイナーリーグが位置していますが、マイナーリーグの中ではさらに8つのクラスに分かれています。

ドラフトで指名された多くの選手は、マイナーリーグから始め、メジャーリーグを目指して奮闘します。

今回見たマイナーリーグの試合は、この階層の中で下から3番目のクラスAショートシーズンの試合でした。


②PDC契約

ほとんどのマイナーリーグのチームは、メジャーリーグのチームと2年または4年の選手育成契約(Player Development Contract:PDC)を結んでいます。

このPDC契約を結ぶことにより、メジャーリーグのチームはマイナーリーグのチームを下部組織として、ドラフトで獲得した選手の育成、故障選手の練習の場として、メジャーリーグに供給する役割も担っている。


マイナーリーグのチームは、日本の2軍、3軍チームと違って、独立採算制を取っています。

チームの選手やコーチの給料、またユニフォームやバッド・グローブなどの用具は、それぞれの契約しているメジャーのチームから支払われていますが、試合の運営費用などは、マイナーチームが独自で得られる、試合チケットやグッズ収入、また広告収入・放映権料などによってまかなわなければいけません。


(参考:MiLB


➂観客動員数

まずメジャーリーグですが、

上位5つのチームの2017年の1試合平均観客数は、以下です。

 1. ロサンジェルス・ドジャース 46,492人

 2. セントルイス・カージナルス 42,567人

 3. サンフランシスコ・ジャイアンツ 40,785人

 4. ニューヨーク・ヤンキース 39,835人

 5. トロント・ブルージェイズ 39,554人

(参考:ESPN


実は、日本のプロ野球も負けておらず、2017年の阪神の平均観客数は42,148人、巨人は41,675人だったので、MLBのランキング上でも上位に食い込むことができます。

(参考:NPB


一方のマイナーリーグですが、上位5チームを見てみると、

1. インディアナポリス・インディアンズ 9,159人

2. シャーロット・ナイツ 9,109人

3. コロンバス・クリッパーズ 9,060人

4. ナッシュビル・サウンズ 8,861人

5. ラウンドロック・エクスプレス 8,724人

と1万人弱が毎試合観ているそうです。

これは、日本の2軍、3軍では考えられない数字です。

ちなみに私が試合を見たブルックリン・サイクロンズは、44位で5,190人でした。(マイナー球団354チームあるので、上位の方ですw)

(参考:Ball Park Digest


これは独立採算制を取っているという点が大きく関わっているかと推測されます。

各チームが観客を増やして、収益を上げる努力を行っている様子を見ることができました。


以下では、個人的な感覚ですが、実際に両リーグを観て感じた共通点と異なる点をレポートさせていただきたいと思います。




◆共通点

①観客の雰囲気、様子


一言で言うと、「野球を観に来ているというより、球場に遊びに来てる」といったところでしょうか。

日本でプロ野球を見るとき、ほとんどの人がちゃんと試合を観ている気がします。

もちろんアメリカもちゃんと試合を観ている人もいますが、ほとんどの人は、一緒に来てる人やファン同士で喋ったり、家族の世話をしたり、携帯をいじったり、他のことをしてる人の方が多い印象です。

ただ、ホームランなどで点が入ったり、ピッチャーがいいピッチングをしたりすれば、会場は大盛り上がり。
また、7回表と裏の間では恒例の「Take me out to the ballgame」大熱唱。
その雰囲気にいるだけで楽しいのです。

メジャーリーグ↓
マイナーリーグ↓

ご覧の通り、観客数は全然違いますが、観客のスタンスは同じです。

球場に遊びに来ている感覚なのでしょう。


また、赤ん坊からお年寄りまで観客の幅広い年齢層の人々が観戦していました。

基本的に家族で来ている人が多いです。それも二世代、三世代で。

アメリカは、日本よりも家族との繋がりが強いことも関係しているかもしれないですが、
なかなか日本では三世代で来場しているグループは見かけたことがありません。

今後日本がもアメリカの姿を目指して家族をターゲットとするのであれば、
このような根本的な文化の違いを理解した上で、取り組む必要があるのではないかと思いました。

②グッズの豊富さ

意外だったのがグッズです。
メジャーリーグでグッズが多いのは想像しやすいかと思いますが、驚いたのがマイナーリーグ。

観戦に行ったスタジアムはブルックリン・サイクロンズのホームスタジアムだったのですが、ショップがなんと2回建て。
以下はそのほんの一部のTシャツ売り場です。
日本のプロ野球チームでもこんなに様々なデザインのTシャツを出してるところは、正直見たことがありません。

マイナーリーグだからといって、グッズが少ないということはないし、上位球団のグッズばかりあるというわけでもありませんでした。(もちろん今回であれば、メッツのグッズは多少はありましたが)

上記でも述べましたが、独立採算制であるマイナーの球団にとってグッズ収入も大きな収入源の一つとなり得るので、割と力をいれているのではないかと感じました。


もちろんメジャーリーグのショップも、商材やその種類(色、サイズなど)も豊富で、なぜここまで揃えられるのだろうかと感心してしまいました。

※ヤンキースタジアムではゴルフ用品まで取り揃えてあったので、ディポットツールを購入しました。↓



◆異なる点

①スタジアムの雰囲気

スタジアムごとに雰囲気はそれぞれ違いますが、今回行った野球の聖地「ヤンキースタジアム」と遊園地の隣にある「MCUパーク」では雰囲気がまるで違いました。


ヤンキースタジアムは、ご存知の通りヤンキースのホームスタジアムで、歴史・伝統のあるスタジアムです。

2009年に改築されましたが、球場内にはモニュメントパークや、歴史上の選手の写真などが飾ってあり、洗練された雰囲気を感じました。


一方のMCUパークは、ブルックリンのコニー・アイランドという地区にある収容人数7,000人の小さな球場で、隣にルナ・パークという遊園地があります。

写真を見てもらうとわかりますが、視線の先には複数のアトラクションがあり、ジェットコースターに乗っている人の叫び声を聞きながら試合を観ている感じです。

また、ホームランやファールボールがいくつも球場外の駐車場や、遊園地まで行っていたので、観客はそれまでも楽しんでいました。(安全面がどう考慮されているかはわかりませんが、、)

このような雰囲気で試合を観れるのは、マイナーリーグならではといったところです。

また、ニューヨークには、他にもリッチモンド・カントリー・バンク・ボールパークというところもあり、ここでは海を眺めながら試合を観戦できるそうで、ぜひこちらも行ってみたいと思います。

②試合の演出

両リーグとも観客を飽きさせないように工夫されているのがわかりましたが、マイナーリーグの方がその比重が大きかったような気がします。

メジャーリーグのように有名な選手が出てたり、そもそものスキルが高かったりすると、試合を観るだけでも十分魅力的で、楽しめるのですが、マイナーリーグはメジャーよりも劣ってしまい、これは仕方ないことです。
しかしその分を「試合の演出」で補うことにより、マイナーリーグを観に来る観客も十分に楽しめるようになっていました。

ではどのようなことをしていたか。
私が観に行った試合ですと、司会の人が1イニングごとに登場してきます。

そして観客のゲストをグラウンドに呼び、ぐるぐるバット競争、椅子取りゲーム、一芸披露、腕立て伏せ競歩など。

このようなゲームやイベントを1イニング終わるごとに行ってました。
なんてシンプルでお金のかからないイベントなのでしょう、、笑
しかし、それを観てるだけで観客は参加者を応援したり、大笑いしたり、非常に楽しんでいました。
恐らくこれがなければ、数千人も観客は入らないのでしょう。




以上が、メジャーリーグ、マイナーリーグの観戦した個人的に感じた共通点・相違点になります。


この2試合を観戦して、アメリカの野球文化を少しは肌感覚で学ぶことができました。

夏の期間はアメリカの4大スポーツ(野球・バスケ・アメフト・アイスホッケー)の中では、基本的に野球の試合しか観ることができないので、滞在中はなるべく様々な野球の試合を観に行き、さらにアメリカ野球について学んでいければと思っています。

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